|
ぬ か る み で わ ら う ( 0 4 0 9 2 5 ) 元希さんに半ば冗談ぽく殴られるたびにあーこれやべーなーとは思ってたけどこの前ついに我慢ならなくなってマジ顔で、「もっと殴ってください」っつったら何かドン退き?されて、元希さん目とかマジびびってんのこっちが可笑しいよ。もっと殴ってください、そう言った俺の目は恍惚としていてそれがじっと見てる元希さんの目にそのままうつってて。 (俺は変態です)(変態です) ただのサンドバッグで居てほしかった俺にそんなこと言われて元希さん超困ってて可愛かった。元希さんの軽いサドっけは俺の本性にはうってつけだったお似合いだった釣り合ってた。だけど今のなんかじゃ全然足りないのでもっときつくやってくれ。 「隆也お前変態なの?」 残念なことにそうなんです。元希さんという人は人の嫌がることを強要するのが好きなので(つーかこの人も大概変態だ)こう言ってしまった俺にはもう手もふれたくないのだろう。怯えとそれを覆う虚勢の眼で俺を見てくる。鈍感で我が侭で残酷で子どもで可愛い元希さん俺はあなたがみっともないほど、
嫌いなんです。
ゆ び お り か ぞ え る ( 0 4 1 1 0 5 ) もうだめ。もーだめ。って眼ェ閉じて座り込んだら隆也の視線が刺さってえ、何?今俺屈伸しただけだよみたいな感じでごまかして膝こぞうに掌を添えてすぐ立ち上がってそのまま手を上に挙げて伸びた。俺には骨があり筋肉がついてそれらをめいっぱい使ってすぐにでも走り出せるしもう一瞬でも数十センチ高くから世界を眺めたければためらわず今、そう今跳躍したらいい。 それでも果てしない先を思うと心が滅入るのだ。 何も考えない、何も考えないに越したことはない。 に か わ ( 0 5 0 2 2 5 ) 「絶対優しくするし痛くしないしどこにも傷はつけません、だから」 とかなんとか最初に隆也は言ったけど所詮無理な話で、それを愚かにも信じた俺は、だって隆也があいつすごい今やらなきゃ首を縊って死ぬくらいの顔をしてたから俺は、それなのに調子にのった一個下のガキにさんざんやられつっこまれ噛まれ吸われしてひどいめにあって、つまりそれは蚊に何百回と刺されたにもひとしかったので俺はキレてそれ以来やらせませんでした。終わった。 (あのときの蚊にさされた掻痒は何かもうけっこうずっと引きずっていて、それでも俺はセックスが終わった瞬間にこいつとは文字通り終わったと思ったから、それ自体がもう何でもないことだと思い込んでいた。) というのが阿部とやったたった一回きりだったので阿部がどんなキスをするかなんていうのはもう憶えていないのだった。このできごとは俺のプライオリティが何よりもまず自分の財産であるところの自分の身体だということを如実にあらわしている。俺は俺が何よりも大切だと胸を張って言える。それは俺にとって大事なことだ。それがなくなったら俺は俺でない。違うだろうか? |