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07:02:24:00-07:03:00:00
7月2日24時にはというか7月3日0時には俺はもう寝ててだから起こされたかたちになった。千石のメールと、それに続く千石からの電話のコール、どうでもいいからどっちかに絞れ。俺は半分寝ながらふるえてる携帯電話を指先で探し当てて握って開いて目をこすりながら画面を見つめた。暗い部屋に小さいはずの画面の光がまぶしい。顔が直に照らされてすこし目を瞬いた。送り主が分かっているメールはそうでないものよりも大抵のばあい期待が薄い、この場合もそうだった。俺は千石と分かっていた。やれやれと思いながらそれでも読んでおこうと重いメールを開く前にまたしも握っていた器械がふるえた。千石という無味乾燥な活字が液晶に映った。ゆっくりと耳にあてる。 もしもし 「…」 千石? 「…みっっ」 せ、 「なみくんっハーピーバースーデー!!」 (そのタメは何だろう)あー、ありがとう 「えっなに照れてるでしょ、照れてるんだろこのこの!かわいいなーみなみだいすき!けんちゃんだいすきおめでとう!まじで!」 (ねむいよー)おれもおれも。ありがとうまじで 「メール読んだ?」 (あの間で読める訳ないだろ)読んだ読んだ。ありがとうまじで 「どう思った?」 どうって、 「…や、うん、やっぱりいい」 千石? 「何でもないほんとおめでとうこれからはオトナのけんちゃんに期待してるからね!!」 おとな… 「すきすきだいすきちょうあいしてる」 千石があっちで自分の携帯にキスする音が聞こえてげっと思って俺は携帯を放り投げた。器械がベッドに伏せたかっこうで音もなく沈んで、部屋が闇に戻った。未練がましくシーツに携帯の光が洩れて、でもそれも消えてしまうまで俺はじっとしていた。耳の中で千石の声を反芻してメールに何が書いてあるのか考えた。 (何が好き好き大好き超愛してるだ…) 俺は適当な嘘をついたことを少し後悔していた。溜息をついて、気が進まないが携帯を拾い上げて、小さい画面で千石のメールを開いた。
俺は、 先ほどの電話の会話で失ったものの大きさをはかれなかった。きっと千石が泣いたように生きてきた中でも最高にみっともなく、俺も泣きたいと思った。でも俺は泣けない。心臓がさっきから千石に掴まれていた。寝転んだまま何度も心臓の位置を変えたいと思ったがいつもいつもそれは中心から少し左側で15年前俺が生まれたときから一度も止まらずに動き続けている。でもそれは今、さっきより少し強く、少し速く、そのせいで少し痛かった。何もなかったような顔をして千石は明日俺に会うのだろう。俺は携帯に口接けて千石からのメールを選んで消した。 ひとりきりだった。 おめでとー しかし誕生日でもうちのなんごくはこんなんだよ… 040703 手直しとタイトル変更。同日にアップしたウムラウトとほとんど同じ話になってます。 040922 |